
極度額とは? ―保証人の“責任の上限”を決める大切な数字
更新日: 2025年07月03日
極度額(きょくどがく) とは、連帯保証人や身元保証人が「どこまでお金を支払う責任を負うのか」を あらかじめ上限額で区切るルール です。
法律で必須になった背景
- 2020 年 4 月施行の民法改正で、個人が保証人になる「根保証契約」※は、書面などで極度額を定めなければ契約自体が無効とされるようになりました。
- これには、
- いくら請求されるか分からずに保証してしまう
- 予想外の多額請求で生活が破綻する
――といった従来のトラブルを防ぐ狙いがあります。
※根保証契約:家賃滞納・医療費・社員の損害賠償など、将来どれだけ発生するか分からない債務をひとまとめに保証する契約。
適用される主な場面
場面 | 具体例 | ポイント |
---|---|---|
賃貸住宅の連帯保証 | 家賃・原状回復費など | 極度額を「◯万円」や「賃料〇か月分」などで明示しないと無効 |
身元保証(就職時など) | 社員が会社に損害を与えたときの賠償 | 職務内容や給与に見合う適切な額を設定する必要がある |
医療・介護施設の保証 | 入院費・施設利用料の立替え | 個人保証なら極度額の記載が必須 |
極度額の決め方・書き方の例
表現方法 | サンプル | メリット |
---|---|---|
固定額方式 | 「極度額は 300 万円とする」 | 一目で上限が分かりやすい |
計算式方式 | 「極度額は基本給 24 か月分」 | 給与や物価の変動に合わせやすい |
複合方式 | 「賃料 12 か月分を上限とし、最大でも 200 万円まで」 | 過大請求を二重でブロック |
高すぎる極度額は「公序良俗違反」とみなされ、無効になる場合があります。
高齢の方が確認したいチェックポイント
- 数字がはっきり書いてあるか
- 「必要に応じて負担」など曖昧な文言は要注意。
- “保証する期間”も併記されているか
- 期間がないと、上限だけ決めても半永久的に請求されるおそれ。
- ご自身の経済力で払える範囲か
- 年金生活なら、月額収入×数か月分を目安に無理のない額に。
- 更新・変更の方法が明記されているか
- 生活環境が変わったときに見直せる条項があると安心。
まとめ
- 極度額は、保証人になる際の“安全ブレーキ”
- 2020 年以降は 書面で上限額を決めない保証契約は無効
- 金額・期間・変更ルールをはっきりさせ、身の丈に合った上限を設定することが大切
不安なときは、契約前に司法書士や弁護士、消費生活センターへ相談しましょう。自分の生活を守りながら、必要な支援を無理なく引き受ける――極度額はそのための必須キーワードです。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。