
身元保証契約のトラブル事例5選 ― 契約前に必ず確認すべき条項とは?
更新日: 2025年06月30日
「契約しておけば安心」と思いがちな身元保証サービスですが、契約内容を十分に確認しないまま署名してしまい、あとから大きな負担やトラブルに発展するケース が後を絶ちません。ここでは、実際に相談窓口や消費生活センターへ寄せられた事例をもとに 典型的な失敗パターン 5 つ と、契約前に必ずチェックしたい条項をわかりやすくまとめました。
トラブル事例 5 選
「保証限度額なし」――滞納費用が青天井に
- 状況
施設入居時に連帯保証人として署名。契約書に限度額が明記されておらず、親の入院・延命治療費が数百万円に膨らんで請求が子どもへ。 - 教訓
保証する金額の上限(極度額)を明記。厚労省のモデル契約でも極度額は必須項目です。
「更新条項の自動延長」――サービスを解約できない
- 状況
月額プランを数年利用。親が亡くなったあとも自動更新扱いで費用請求が続き、違約金を払ってようやく解約。 - 教訓
更新方法(自動 or 都度契約)と解約時の費用 を確認。死後事務完了後は自動終了するか要チェック。
「駆けつけ保証は距離制限付き」――夜間・遠方は別料金
- 状況
24 時間 365 日対応をうたうサービス。しかし小さな注釈に「契約者宅から 30km 以内」とあり、遠方の救急搬送時は 5 万円の出張料が加算。 - 教訓
駆けつけ条件(距離・時間帯)と追加料金の発生条件 を細かく確認。
「死後事務が対応外」――遺品整理と役所手続きを子どもが負担
- 状況
「もしものときも安心」というカタログを鵜呑みにし契約。実際は死後事務(葬儀、火葬、行政手続き)は別サービスで、急きょ高額オプションを追加せざるを得なくなった。 - 教訓
サポート範囲を“入院・入居中”と“死後”で分けて明記。死後事務委任契約を含むか要確認。
「実費精算の不透明さ」――レシート提示なしで預託金が消える
- 状況
日用品購入やタクシー代を実費で立替えるプラン。月末精算報告が摘要欄「雑費一式 3 万円」のみ。使途不明金が疑われるが、契約上は“明細添付任意”で追求困難。 - 教訓
実費精算方法(領収書添付・オンライン明細)と監査手段 を契約書に盛り込む。
契約前に必ず確認すべき 7 つの条項
チェック項目 | 主な確認内容 |
---|---|
1. 保証範囲 | 入院・施設入居・退去精算・死後事務のどこまで含むか |
2. 極度額(保証限度額) | ◯万円 or 月額×○か月など、上限が数値化されているか |
3. 契約期間・更新方法 | 普通契約 / 自動更新 / イベント終了型(死亡時等) |
4. 途中解約・返金規定 | 解約手数料・未使用期間返金の有無・違約金 |
5. 追加料金の条件 | 深夜帯・距離超過・緊急搬送付き添いなどの加算基準 |
6. 実費精算の透明性 | 明細の提示方法・月次報告書のフォーマット |
7. 第三者監査・苦情窓口 | 行政認可・業界団体のガイドライン順守、相談窓口の明示 |
まとめ
身元保証契約は「安心を買う」一方で、契約書次第では 「家族に想定外の負担がのしかかる」 リスクもあります。
- トラブル事例に照らし合わせて 自分が想定する利用シーン を具体化
- 上記 7 項目を 書面で明示してもらう
- 不明点は契約前に 専門家(司法書士・弁護士)へ相談
この 3 ステップを踏むことで、身元保証サービスを安心して利用し、将来のトラブルを未然に防ぎましょう。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。