
任意後見契約とは?―“もしも”に備え、あなたの想いを守るしくみ
更新日: 2025年07月03日
任意後見契約ってなに?
- かんたんに言うと
まだ元気なうちに、「将来、物ごとの判断がむずかしくなったら、この人に手伝ってほしい」と自分で決めておくしくみです。
- 契約は公証役場(こうしょうやくば)で作る“公正証書(こうせいしょしょ)”という書類で交わします。
- 判断力が落ちてきたときに家庭裁判所が「任意後見監督人(にんいこうけん かんとくにん)」という見守り役を付け、受任者(お願いした人)が正式に動きはじめます。
どうして注目されているの?
- 認知症や病気に備えられる
- もの忘れがひどくなっても、銀行や病院の手続きを信頼できる人にまかせられます。
- 自分で人を選べる
- 子ども、きょうだい、友人、専門家(司法書士・弁護士など)から自由に決められます。
- お願いする内容を細かく指定できる
- たとえば「自宅は売らない」「最後まで在宅介護にしたい」など希望を書面で残せます。
メリットと注意点
メリット | 注意したいこと |
---|---|
自分の意思を生かせる | 書類づくりに手数料(1〜2万円ほど)がかかる |
頼む人と内容を選べる | 受任者へのお礼や、監督人への報酬(年10〜30万円前後)が必要 |
法定後見より柔軟(あとから急に裁判所が人を決める方式ではない) | 受任者と良好な関係を保つことが大切 |
死後の手続き契約などと組み合わせられる | 内容があいまいだと、あとでトラブルになるおそれ |
こんな方におすすめ
- おひとり暮らし や 遠くに家族が住んでいる 方
- 70〜80代で 「まだ元気だけど将来が心配」 という方
- ご夫婦とも高齢 で、どちらかが先に病気になる可能性があるケース
- 資産や持ち家があり、処分方法を自分で決めておきたい 方
よくある質問
- Q. いつ契約するのがいいの?
A. 元気に生活できている今がベストタイミングです。判断力が落ちてからでは契約できません。 - Q. 子どもに負担をかけたくない…
A. 司法書士や弁護士など専門家を指名する例も増えています。費用はかかりますが、家族の負担を軽くできます。 - Q. 途中で頼む人を変えられる?
A. 判断力があるうちはいつでも変更できます。内容を見直したくなったら、公証役場で再契約しましょう。
まとめ
任意後見契約は、「自分らしい暮らしを最後まで続けるための“保険”」のようなものです。
- 誰に何をお願いするか
- どこまで任せるか
――これらを“今”決めて書面に残しておくことで、将来の不安を大きく減らせます。気になる方は、まずは最寄りの公証役場や専門家へ気軽に相談してみてください。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。