
親の身元保証をどうする? 子ども世代が知るべき法的責任と手続きフロー
更新日: 2025年06月30日
「親が入院や老人ホーム入居を考え始めたけれど、身元保証は子どもが引き受けるべき?
責任や手続きがよく分からなくて不安…」――そんな疑問を抱える子ども世代の方向けに、法的なポイント と 手続きフロー をやさしく整理しました。家族会議の下敷きとして活用してください。
子どもが身元保証を引き受けるときの法的責任
ポイント | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
連帯保証人 | 親が医療費・施設利用料を滞納した場合、子どもが同等の支払義務 を負う | 「保証限度額なし」の契約が多い。必ず上限を設ける条項が入っているか確認 |
緊急連絡先 | 病状説明の立ち会い、手術同意など | 同意書の署名は治療内容への理解が前提。深夜・遠方の場合の対応体制も要確認 |
身元引受人(死亡時) | 退院・退去手続き、遺骨・遺品の受け取り | 火葬・納骨費用や遺品整理の実費を求められるケースあり |
死後事務委任契約 | 葬儀・埋葬・各種解約手続きまでを一任 | 契約していれば子どもの実務負担を大幅に減らせる |
ワンポイント
「緊急連絡先」だけを求められていると思っていたら、実際は 連帯保証条項 が付いていた――というトラブルが後を絶ちません。契約書を必ず全文チェック しましょう。
判断材料として押さえておきたい 3 つの選択肢
- 子どもがフルで保証人になる
- 親子間で費用負担や緊急時対応を明文化(覚書でも可)
- 契約書には「限度額」「保証期間の終了条件」を必ず入れる
- 子ども+第三者サービスの併用
- 支払い責任は子ども、緊急時駆けつけ・死後事務は法人に委託
- 月額数千円〜で負担を分散できる
- 第三者サービスに一本化
- 連帯保証・死後事務をすべて法人へ。子どもは緊急連絡先のみ
- 初期費用 10〜30 万円+月額 ※サービス範囲に比例して増減
手続きフロー:親子で進める 7 ステップ
- 情報収集
- 病院・施設が求める保証内容を確認
- 市区町村の地域包括支援センターでサービス一覧を入手
- 家族会議
- 親の意向(延命治療の希望、死後の希望)をヒアリング
- 費用シミュレーション
- ①医療・介護費、②保証サービス料、③死後事務費を試算
- 役割分担の決定
- 「支払い責任は子ども」「死後事務は法人」など具体化
- 契約書チェック
- 保証限度額・更新有無・解約条件を専門家(司法書士・弁護士)に確認
- 公的書類の準備
- 任意後見契約、公正証書遺言、死後事務委任契約をセットで検討
- 定期見直し
- 年 1 回を目安に、健康状態やサービス内容をアップデート
よくある疑問 Q&A
Q. 兄弟姉妹が複数いる場合、保証人は連名?
A. 連名にすると全員が同等の債務を負います。代表者 1 名に絞り、他の兄弟は費用分担の覚書を交わす方法が一般的です。
Q. 子どもが海外在住で日本の連帯保証人になれる?
A. 施設によっては「国内在住者のみ可」。その場合は第三者サービスを組み合わせるか、一時帰国して契約手続きを行う必要があります。
Q. 保証人を途中で交替できる?
A. 医療・施設ともに届出で変更可能。ただし新保証人の審査や追加費用が発生するケースがあるため、事前に解約・変更条項を確認してください。
まとめ
- 子どもが引き受ける保証範囲 を具体的に把握し、契約書で上限を設定する
- 第三者サービスの併用 で負担とリスクを最適化
- 法的手続き(任意後見・死後事務委任など) をセットで整備すると、いざというときの混乱を防げる
親の人生を支える選択は、子ども世代の安心にも直結します。早めに情報を共有し、家族全員が納得できる形 を見つけましょう。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。