
死後事務委任契約とは? ―葬儀・遺品整理まで“自分のあと”を託すしくみ
更新日: 2025年07月03日
どんな契約?
- ひと言で
亡くなったあとの手続きを、あらかじめ“この人にお願いします”と決めておく契約。
- 本人(委任者)が元気なうちに、公証役場で 公正証書 にしておくのが一般的です。
- 亡くなったあとは、頼まれた人(受任者)が 葬儀・火葬・遺品整理・各種解約 などを代わって行い、その内容を家族や役所へ報告します。
国は2024年に高齢者向けガイドラインを示し、委任内容や費用の明示を推奨しています。(cao.go.jp)
なぜ今、注目されるの?
- おひとりさま・子どもが遠方――頼める人がそばにいないケースが急増。
- 家族の負担軽減――「葬儀は直葬で」など細かな希望を残せる。
- 相続人トラブルの防止――受任者の権限を契約で明確にし、親族間の摩擦を避けやすい。
具体的に頼める主な事務
主な事務 | 例 | ポイント |
---|---|---|
葬儀・火葬 | 形式・斎場の手配、僧侶への依頼 | 「家族葬」「直葬」など希望を細かく指定できる |
納骨・埋葬 | 墓地契約、樹木葬、散骨 | 費用や場所を決めておくとスムーズ |
遺品整理 | 不用品処分、形見分け送付 | 業者手配の費用上限を設定しておくと安心 |
各種解約 | 電気・ガス・賃貸、携帯、SNS | IDやパスワード管理の方法も記載可 |
行政手続き | 年金・健康保険の資格抹消など | 期限付きの手続きが多いため大きな負担減 |
メリットと注意点
メリット | 注意点 |
---|---|
家族や友人の負担を大幅に減らせる | 受任者の報酬・実費を事前に決めておく必要 |
葬儀や遺品整理の希望を細かく残せる | 相続人に説明しないとトラブルの火種になる |
相続手続きと切り分けられる | 受任者との信頼関係が何より大切 |
任意後見契約・遺言と組み合わせやすい | 契約内容の更新を忘れないこと |
こんな人に向いています
- おひとり暮らし で頼れる親族が近くにいない
- 子どもに迷惑をかけたくない と考えている
- ペットやデジタル遺品など 特別な希望 がある
- 自宅や墓の管理方法 を自分で決めておきたい
まとめ
死後事務委任契約 は、
- 葬儀
- 遺品整理
- 各種解約・行政手続き
――といった“最後の手続き”を信頼できる人に正式に託す仕組みです。費用や希望をきちんと書類にしておけば、残される家族や友人の負担を大きく減らせます。気になる方は、まずは 公証役場や専門家への相談 を検討してみてください。
自分の人生のしめくくりを自分で決めることが、安心につながります。

編集者プロフィール

身元保証のけんさく編集部
月間数十件の身元保証・高齢者支援相談で培った実務知識を持つ専門編集者。
法律・介護・費用相場まで横断的に精通し、読者の「もしも」への備えをわかりやすく発信します。